Integrin-independent repression of cadherin transcription by talin during axis formation in Drosophila

第二弾。思ったよりいまひとつ。かなり面白い発見ではあるんだけど、ディスカッションにつなげられない。やってほしい実験はいくつもあるんだけど、そこから先どうつめるのかが難しい。続報がでていることを期待したんだけど、Web of Science によるとまだないみたい。唯一の引用は同一号のNews and Views。へ〜そう、で終わっては JC にならないし。
内容は、cell sorting に関わる話。ある細胞集団の中で接着分子の発現レベルの違いによって特定の細胞同士の親和性が制御されているということがある。例えば、Cadherin の発現レベルが高いもの同士がくっつきやすいということ。他には、細胞集団中で複数の異なる接着分子をもつ subset が存在していて、その subset 同士が接着するとか、いろいろなケース・説が存在する。現代生物学の完全に解かれていない領域の主要なひとつみたい。
この論文は三つの主張をしている:

  • Talin*1 と呼ばれる、Integrin 分子を足場とした focal complex の構成因子のひとつが、integrin に非依存の機能を持っている
  • それは転写レベルでの cadherin の制御に関係している
  • Cadherin 量の局所的な変更によって細胞集団内での特定の細胞の親和性・接着性を編集しうる

この Talin の未同定のシグナルカスケードが同定されて、それで組織のコンテキストでこれがディスカッション可能ならば取り上げられるんだけど。これはボツ。

*1:FERM domain で integrin と結合、actin, vinculin 結合ドメインもそれぞれもつ 2500aa ぐらいの巨大タンパク質