成果と競争と

Drosophila melanogaster の遺伝学は Thomas Hunt Morgan が20世紀の頭に開始し、それ以来の知見の蓄積によって他のどのような多細胞生物よりも遺伝学的な研究がなされている。初期の Drosophila research community は実験テクニックや変異体などを community 全体の財産とみなし共有してきたことが研究成果の急速な拡大につながったとされている。さらに黎明期においては "Department of biology were cash poor but rich in one resource: cheap, eager, renewable student labor" だったそうで(一番最後がちょっと気になるところだが)、Drosophila research のルールとして " No trade secrets, no monopolies, no poaching, no ambushes." を標榜していた。もちろん、現在でも community の財産とみなすことに変わりはない。
JDRC7 では opening remarks でポスターあるいは口頭発表のスライドの写真撮影およびビデオ撮影は禁止と警告が入ったし、JFLY の ML には発表要旨の削除のアナウンスが流れている。どうも、このサイトでやっていることは境界すれすれなのかもしれないが、そういった風潮が気になるところ。甘い、かもしれませんが初期の人たちの気概に Scott Gilbert の Developmental Biology を読んで、この世界に期待した一学生の身としてはちょっとグレーな側面に複雑な気分になる。
Developmental Biology