光学顕微鏡限界

大学院の講義を受けていろいろ勉強になった。
光学顕微鏡の分解能は Raileigh (レイレイ) の分解能として以下の式で与えられている。

  • 0.61 x 使用する光の波長 / 屈折率 n x sin (開口角)

このときの 0.61 は経験的に決定された値であり、ふたつの光源由来の光をレンズで集めて拡大した像を肉眼で区別できる状態から定められている。この値の決定には、光源が同位相でないことも考慮されている。つまり、蛍光タンパク質などは励起光が例え同位相になっていたとしても、かならずしも蛍光が同位相ではないことから生じる散乱も入っているらしい。
一方、理論的な限界値は Abbe (アッベ) の分解能として

  • 使用する光の波長 / 屈折率 n x sin (開口角)

で与えられる。この値は、レンズが一次回折光*1と直進光を集光する場合の干渉が起きる限界として与えられている。
しかし、 PMT を利用してデジタルデータとして光のデータを管理できるようになり、波形解析を行うことで Abbe の分解能を超えたところまでソフト的に解像度を向上させることが可能になった。これを Sparrow の分解能といい、おおよそ Abbe の分解能の半分の値が現時点での理論的かつ、実際の限界となっている。
久しぶりに高校物理で習ったホイヘンスの原理の話が出てきてなつかしかった。

*1:位相のずれがちょうど一周期