隠された風景 - 生を紡ぐための死

隠された風景―死の現場を歩く
隠された風景―死の現場を歩く
ひさしぶりにいい本読んだ感じ。保健所で「処分」される動物や、精肉工場などでのとり/うし/ぶたの扱いなど現場で働くひとへの取材を通して記述されている。
「動物の保護および管理に関する法律 (動管法) 第七条」

都道府県庁又は政令で定める市は、犬又はねこの引取りをその所有者から求められたときは、これを引き取らなくてはならない

「動管法第十条」

動物を殺さなければならない場合には、できる限りその動物に苦痛を与えない方法によってしなければならない

という風に定められた法律により、市民生活の保全(飼育責任者のいない動物の害や狂犬病予防)という観点から保健所での動物処分が行われている。年間犬だけで 64 万件 ( 1998 年データ )。野良生物は実際にはほとんどおらず、大半は飼育者の責任放棄によるらしい。
そして、この精神的にとても大変な仕事をされている方々へのネガティブな意識に関しての記述にびっくりした。引用するのも気が引けてしまうが、こういう心的なイメージを浮かべる人の割合が多くないことを願うのみ。
染色体に外来遺伝子を挿入して強制発現を行い 30 秒おきにレーザーを照射して12時間連続して蛍光観察をしてると生命の一端にいつも触れてることになるわけです。P2 で生まれて P2 で死んでいく組み換え体は 4G くらいのファイルに像を残していきます。無駄に殺しをしているつもりは毛頭ないけど、ふりかえるいい機会をこの本に与えられた。