研究室のスタイル

柏松堂随想から。

うちの研究室は博士論文も修士論文もテーマは残り3ヶ月くらいにならないと決まらない(修士で出て行く人を除く)。テーマを決めてしまうと、そこから出る成果がその後全て一人のものになってしまうからである。「チーム制」とやらで動いていて、なるべく全員が平等に就職にありつけるようにするためにはそれではよくないのだ。

チームで動くっていうのはとても雰囲気が違いそう。今のラボは完全に学生は独立してひとつのテーマをやってる。ポスドククラスの人にボスとの間の中間的な指導的立場についていただいて。ただ、今いるところは教育機関ではないので、師匠にとって指導は義務ではない。それでも時間を割いていただいているのは感謝してもしきれないところ。
各人が独立したテーマをやっている以上、かなり密に連絡を取り合わないと同じラボのなかでどのような研究が同時進行しているのかについていけない。得意な実験系とか、技術、知識についてなんとなくおぼろげなイメージは持ってるけど、現在の状態把握は難しい。イントラブログをみんなが書けばいいのに、という話をしたらそれはまめさが必要だ、とコバさんのお言葉。
同業者、とは言ってもそれぞれのシステムは研究室ごとに大きく異なるみたいだ。前いたラボとも今いるところはかなり違う。プログレスレポートの形式(20minくらいで毎月 -> 1h30min くらいで 3ヶ月に一度)や、JC のスタイル(単一研究室 or 複数合同)。
今のテーマで行き詰まったら、なんてことはよく考える。うまくいかない可能性なんていくつも思いつくし、だからそれへの対応策はいつも何通りかを考えるようにしてる。でも、完全に動きが止まる、つまりテーマとして変更あるいは凍結を余儀なくされることは、やっぱりある。だから、次どうするかを考えていないと不安でしょうがない。少なくとも自分が研究の意義を認めてやれる仕事でないと、やる価値はないし、既存の方法で遺伝子だけ変わりましたみたいなことはやりたくないし。
「あなたの研究はどう独自性があって、意義はなんなの?」という問いは税金を使っている以上ちゃんと説明できなきゃならないけど、その条件を満たしつつ自分にとって面白いというのを両立させるテーマのストックを用意し続けるのは難しい。しかも、ちゃんとした狙いがあって、勝算がある戦略を立てられて、それをもとに審査を納得させられる日本語能力が必要。
わかってはいても、実現は遠い。U先生は大学院でどんなこと考えてたんだろ。