中途半端な妄想 or 想像と言って許されるのか?

疲れがたまってきたせいか、どうも妙な思考が。多分、いろんな方とお話ししたり、鼻行類なんていう本を読んだりしてある種の興奮状態に精神があるんだろう。
発生生物学を突き進めていった先にどんな世界観が開けるのか。おそらくそんな問いが頭のどこかをかすめたんだと思う。生物の形作り、というのはどのような分子基盤が支配しているのか、ということに解を与えうるパラダイムとして分子生物学/分子遺伝学がある。つまり、遺伝子機能を操作することが可能になったことにより、形態形成のどのような側面においてある特定の遺伝子が機能しているのか、を解析することが実現した。
この系を用いて、どのシグナル伝達カスケードや転写因子がある組織構築過程を支配しているのかが詳細に調べられてきて、これらは今後10年もせずにほぼ飽和するだろう。現時点でも既にその兆しは業界を満たし始めている、と少なくとも私は思っている。
しかし、シグナルカスケードの関与が(それは RTK や smallG のようなスイッチでもなんでもいい)、実際にどのように組織のおける細胞個々の振る舞いを規定することで、組織構築がなされているのかということはほとんどわかっていない。それは代表的な転写因子の下流ターゲットが機能解析はおろか、同定すらなされていないことからもわかる。
そんな状況だから、そのターゲット探しは現在世界中で行われており、DNA chip 解析による発現プロファイリングなんてまさにその典型であり、それと相補的にゲノム情報を利用して転写因子の下流ターゲットを in silico で探す、という手法も花盛りである。
では、すべての組織において、シグナルカスケードがすべて網羅され、転写因子のネットワークも判明し、その下流ターゲットが明らかになったあとどのような展開が待つのか。あるいは、そのとき同時並行で行われる研究は何か、ということを考えると、当然、個々のターゲット遺伝子の機能解析になる。
表現型を網羅的に扱うという研究は、現段階では非常に厳しい状況にあり、現実的なアプローチは多細胞生物では提出されているとは言いがたい。だからこそ、high-throughput な表現型解析系の立ち上げが必要になる。これは今20−30代の研究者の仕事になるだろうと思われる。
それで、その先に何があるか。
すべての遺伝子の、各組織/細胞での発現が記載され、その細胞の振る舞いを規定する機能が明らかになれば、あるいは計算機上でその生物の発生段階を細胞レベルから完全に記述することが可能になるのではないだろうか。それはゲノムを変更してやることで、その in silico な生物の表現型が変化するような生物シミュレータとしての性格を付与することも可能だろう。
そうすれば、この生物の見方を利用して、生物の形態形成をデザインすることも可能になるように思う。失われた種や、生まれなかった種もディスプレイ上に再現することが可能になるかもしれない。これが、発生生物学のゴールなのか?相変わらず open question...
疲れた目でざっと読み直すと、どうも論理的飛躍や現実味がないものばかりな気がするなぁ。