Forum Y. I. さん

非対称分裂の話。結構固有名詞に詳しくなった。Neuroblast という神経の前駆細胞は上皮から delamination して上皮の平面とは垂直方向に何度か分裂して Ganglion mother cell というグリアや神経細胞前駆細胞を生む。
Neuroblast が非対称分裂する際の3つのステップ。

  • 非対称なタンパク質の局在 (apical: Baz, aPKC, Par6, basal: miranda)
  • 紡錘体の向きの変換
  • Ganglion mother cell が Neuroblast よりも小さく分裂

YI さんのターゲットは紡錘体の向きを決めている因子。Pin/Galphai の局在方向へ分裂面が垂直になることが知られており、Pin と結合するタンパク質を免疫沈降して質量分析。Coiled-coil をもつタンパク質が取れており、null allele では Pin/Galphai の変異体同様に分裂方向がランダムになる。ただし、このとき Pin/Galphai の局在は lateral cortex であり、分裂もこれらの局在に従う。向きそのものはランダムだけど。
この coiled-coil タンパク質は分裂期 (prophase to telophase) に centrosome に局在して gamma-tubulin 染色と綺麗に共局在する (Data がすごく綺麗) 。
Insecutable というタンパク質があり、neuroblast の上皮から見て直行する方向への紡錘体の配向を決めている。上皮で insecutable を過剰発現すると neuroblast のように、上皮平面とは直行する方向に細胞分裂が起きる。
Germline でも同様に非対称分裂が起きることが知られている。この系を利用して zygotic mutant の表現型解析をするみたい。
しかし、データが綺麗で見ていて面白い。なんらかの機能的構造を生みだすための分子メカニズムを見られるシステムを触っているとわくわく〜。